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自閉症スペクトラム障がい
今回のコラムでは、自閉症スペクトラム障がいの方が実際の就労場面で経験した困り事とその対処策の一事例をご紹介いたします。これから就職する方も、実際に同様の状況に直面するかもしれません。そのような際には、先輩方の対処策をぜひ参考にしてみてください!
微妙なニュアンスを含む不文律(メタ言語)への対処法
「遅刻はしてはいけない」というのは、社会人としての常識です。遅刻をしないように始業時刻から通勤時間や身支度時間、朝食時間などを逆算して起床時刻を決めるのが一般的でしょう。しかし、言わずもがなこの常識には含まれない特例があります。
代表的なものとしては、何らかのトラブルによる“通勤電車の遅延”が挙げられます。ある程度時間に余裕をもって日々通勤に努めているとは言え、不意な電車トラブルによって一向に運転が再開されず、足止めを余儀なくされる状況に遭遇することも十分に考えられます。このようなケースは、やむを得ないケースとして、一般的には遅刻扱いにはされません。そうでなければ、「如何なる特例もなく何がなんでも絶対に遅刻してはいけない」ということになります。
このように、わざわざ言ってはいない(=不文律)が、ニュアンスを含んでいる言葉を『メタ言語』と呼びます。自閉症スペクトラム障がいの方は、この『メタ言語』が含まれたコミュニケーションに困り感があります。『メタ言語』が理解できずに、言われた言葉を字義通りに捉えるので、職場内での人間関係に角が立ってしまうことも少なくありません。
今回のケースで言うと「遅刻はしてはいけないのに、何で遅刻しているんですか!?」という具合に自分の“字義通り”に対する正当性を主張し、相手に対し攻撃的ともとられる発言をしてしまうことです。対処法としては、言葉を字義通りに理解することは得意であったりできるわけですから、相手にその旨を伝えましょう。その上で、更に「メモや録音データなどを“痕跡型の情報”として提示してもらえると齟齬なく指示を理解することができます」と伝えることで、『メタ言語』への対処が可能となり得ます。
曖昧な表現を含むコミュニケーション対策
“曖昧な表現”について例を挙げますと、「適当に掃除をしておいて…」と指示を受けても「適当」が何を指しているのか、またどの程度なのかがわからずに、延々と掃除を行った挙句、他の仕事に全く手をつけることができずに一日の業務を終えてしまったというものです。
対処策としては、「適当」と言われた際には「どのくらいでしょうか?」と尋ねて曖昧さを解消していくことが大切となります。上司の指示などに対して訊き返すことは、勇気を要するかもしれませんが、分からないことがあった際には直ちに確認することが肝要です。そうしなければ、業務の内容によっては大きな問題に発展してしまう可能性もあります。『聞くは一時の恥、聞かぬは末代の恥』ということわざもあります。業務指示などの会話の中に曖昧な表現が含まれていた際には、その内容を速やかに且つ具体的に確認しましょう。
このように、自分の困り感を周囲にも伝え、共有し、それぞれが一工夫することで、職場での困り感は相当改善されるとともに、円滑に仕事や職場の人間関係を築いていくことができます。
このコラムをご覧のこれから就職を目指す皆さん、ぜひ今後の参考にしてみてください!ブライトをご利用いただけますと、実際に障がい者就労をされている先輩方の貴重な現場の声を直接聞く機会もございます!ぜひご利用ください!