BLOG ブログ
5月17日(水)、東京大学先端科学技術研究センターで準教授を務められている、近藤武夫先生を講師としてお招きし、「超短時間雇用という新しい働き方 ~雇用率にとらわれない仕事の可能性~」というテーマで長野県塩尻市にて講演をして頂きました。
今回の講演は一般社団法人日本発達障害ネットワークながのと株式会社しんえこの共催でしたが、しんえこのグループ会社として我々就労移行支援事業所ブライトのクルーも準備や運営をしました。
目次
1.現行の法律と新しい障害者雇用のかたち
2.「超短時間雇用」とは最後に
3.最後に
1.現行の法律と新しい障害者雇用のかたち
現在日本の法律では、企業に課せられた障害者の法定雇用率は民間企業で2.0%、50名以上の社員を有する企業は1名以上の障害者を雇用しなければならないという定めになっています。
週当たりの労働時間も算定基準として存在し、週に30時間以上の労働を行う方を雇用すると1名のカウント、20時間以上30時間未満の労働時間では0.5名のカウントとなります。
今回の講演では、障害者雇用の算定基準として該当しない「20時間未満の労働」にスポットを当て、近藤先生が研究されている「超短時間雇用」の取り組みに賛同し、既に実践をしている企業の実例を紹介して頂きながら、新しい形の障害者雇用についてお話し頂きました。
2.「超短時間雇用」とは
一般的な長時間の労働には不安があるという障害者の方に対して働く機会を創出することを目的とし、
①企業の部署ごとに業務分析を行い、その中から一部の業務を切り出して労働時間、給与を定義し、超短時間の業務を構築する、
②その業務に従来の雇用形態では困難であった労働者に雇用の機会を生む、
という「IDEAモデル」を近藤先生は提唱しています。
この「IDEAモデル」を以って、ソフトバンク社とコラボレーションをし、同社に「ショートタイムワーク制度」を導入して何名もの障害者の超短時間雇用の実績を挙げられているとの事でした。
その他にも、近藤先生は川崎市や神戸市とも連携を取り、「超短時間雇用」という新しい働き方の普及に向けて尽力されていらっしゃいます。
また、一般的な職場では障害者枠で雇用され勤務している方に対して、「しばらく働いて慣れてきてくれたから、労働時間を延長しよう」、「新しくこの仕事にも挑戦してみてもらおう」と働きかける事も多いと思われます。
ですが、「時間を延ばす」、「仕事を増やす」という事で、これまで安定して仕事をこなしてくれていたはずの方が不調になってしまい、段々と仕事を休みがちになり、最悪仕事を辞めてしまう…といったケースも少なくないとの事でした。
そうした事態が想定される場合には、「超短時間雇用」を活用し、決められた業務を決められた時間内でこなしてもらうという形を取ると、とても安定して業務に望むことが出来ることもあるようです。
実際に「超短時間雇用」の導入を進めている企業からは、ほとんど困り事の相談が挙がって来ていないそうです。
3.最後に
今回の講演会には、行政、企業、障害者の相談センター、就労移行支援事業所等からたくさんの方にご参加いただきました。
また、聴講した就労移行支援事業所ブライトまつもとの利用者の皆さんや我々クルーにとっても、働き方や障害者雇用のあり方について改めて考える、貴重な機会となりました。
「超短時間雇用」の取り組みが拡大すれば、これまでの一般的な働き方の枠にはなかなか入る事の出来なかった障害者の方にも、働くチャンスが広がります。
障害のある方の社会参画の機会拡大が期待できる、素晴らしい取り組みだと感じました。
我々ブライトも近藤先生と共に、働きたいという障害者の方の応援を続けてまいります。