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当事者が語る、継続して働くための4つのポイント
就労移行支援事業所を利用した後にオープンで就職をし、その後継続して働かれている方々と、定着支援やOB・OG会でお会いする機会があるのですが、その際に決まってお尋ねする内容があります。
それは、「継続して働くポイントは何ですか?」です。
就労移行支援事業所での日々の訓練が実を結び、晴れて就職が決まっても、生活リズムや勤怠が安定せず、早々に退職に至ってしまっては、就職に向けてきた折角の努力が水の泡になってしまいます。そうならないため、実際に就職された方々からの生の声を紹介したいと思います。
就労継続をされている方々の多くが口を揃えて言われる、「継続して働くポイント」(特にセルフケアという観点においてのポイント)を以下に4つお示しします。
■服薬管理
■規則正しい生活
■通院
■気分転換(=趣味)
本コラムでは、上記4つのポイントの中でも「服薬管理」に焦点を当て、事例を交えながら、就労を継続する上での服薬管理の大切さについてお伝えします。
(「気分転換(=趣味)」につきましては、過去のコラム『精神障害の方必見!勤怠安定のための2つのポイント ~統合失調症の方(精神障害)へのサポート事例~』をご覧ください)
自己判断は危険!精神障害のある方が就労を継続する上で大切な『服薬管理』とは
精神障害の方は、通院先の主治医からの診察により、日常的に向精神薬を服薬されている方が少なくなくありません。また、そのような病気に対して「完治」という言葉は使われず、「寛解」といった表現がされています。
寛解とは、「(その時は)病気の症状が一時的に軽くなっていたり、消えていたりする状態で、このまま再発せずに完全に治る可能性がある。しかし、場合によっては再発する可能性がある」といった意味です。つまり、精神科医療の観点からみても、「病気が治る」といった判断には慎重を期すということです。
以前に次のような事例がありました。週5日のペースで就労移行支援事業所を通所されていた、統合失調症のある方の言動が、ある日突然それまでと異なると感じることがありました(とりとめのない話や唐突感のある話を始める)。本人やご家族と面談を行い、よくよくお話を聞かせていただくと、主治医の指示がなく、自己判断で怠薬(薬の服薬を中断すること)をしていた事実が発覚したのです。怠薬の理由について尋ねると、本人曰く、「体調が安定しているから薬は不要」ということでした。
確かに薬の副作用として、眠気、だるさ、口の渇き、便秘など、さまざまな症状が出ることがあります。しかし、だからといって自己判断により勝手に怠薬することはとても危険です。日常生活、就業中の方であれば就業生活全般にわたって支障をきたし、最悪の場合は入院しなければならないほどに状態が悪化することもあります。(著者は実際に入院された方を目の当たりにしてきました。)『“体調が安定しているから薬は不要”ではなく、“薬を飲んでいるから体調が安定している”』と捉えた方が、正しい捉え方と言えるのではないでしょうか。
薬の副作用が強く、かえって体調が悪く感じることもあるかもしれませんが、その際は先ず主治医に相談しましょう。過去の定着支援の中では、薬の副作用として、就業時間中の眠気やボーっとしてしまうことが多い方がいました。その方は主治医に相談した上で、薬を朝飲むのではなく、夜飲むように変更してもらい、副作用の問題をクリアにし、業務に支障が出ないようにできたケースもありました。
まとめ
『自己判断ではなく、主治医の指示のもとに、用法・用量を守り正しく服薬管理を行う』ことが重要です。万が一、薬の副作用などによりどうしても処方された薬がフィットしないという場合には、主治医に相談してみましょう。相談内容を聞いた上で、よりフィットする薬を一緒に考えていただけると思います。