BLOG ブログ
「書類選考(=一次選考)を通過しました!」。
利用者(企業)の方からの吉報は、利用者の方のみならず“就活伴走者”としての我々スタッフにとっても喜ばしいことです。
原則的に、就職活動における企業へ最初のアプローチが書類(履歴書及び職務経歴書)でのプレゼンテーションとなります。日々書類添削をしていると、冒頭のように書類選考を通過した方々の書類にいくつかの共通点(ポイント)が見られます。さて、いったいどのような共通点(ポイント)があるのでしょうか?
本コラムでは、企業に提出する書類の中でも履歴書に絞って、オープン(障害者)求人においての履歴書作成ポイントをその根拠とともに少しだけお伝えいたします。
オープン求人の場合の“履歴書”とは?
まず履歴書の性質について考えてみましょう。
履歴書とは、字義通り解釈すると、あなたの履歴を記した書類となります。クローズ(一般)求人で考えた場合、学歴及び職歴欄、資格取得欄(歴)が履歴にあたります。では、オープン求人に応募する場合の履歴には何が該当するでしょうか。
書類選考を通過し、次の面接選考に進む可能性をより高めるためには、前述の学歴及び職歴、資格取得歴に加えて、ご自身の障害歴(現状)を記しておくことをお勧めします。オープン求人でエントリーするわけですから、企業としては、極力早い段階から応募者の障害の情報を把握しておきたいのです。
“障害歴”の書き方
PC上で履歴書フォーマットデータを用いて作成する場合には【障害の現状(歴)】などと項目欄を追加して設けたり、履歴書フォーマットデータを編集できない、または手書きの場合には【障害説明書】といったかたちで、履歴書とは別に作成したりすることができます。
障害歴を書く際の具体的なトピックとしては以下のような内容が考えられます。
■障がい者手帳情報(手帳分類、等級、障がい名、手帳取得年月日)
■通院状況
■支援機関の有無
■障がい歴(現状)
■必要とする配慮
このような内容が記載されていると、企業としても応募者の障がいの概要を把握できることになります。このうち■障がい者手帳情報、■通院状況、■支援機関の有無についは、事実を端的に箇条書きで記すことができます。一方で、■障がい歴(現状)、■必要とする配慮については、自分の言葉で説明(論述)することが求められます。
企業視点での書き方
企業に誤解の無いように正しく丁寧に説明するための最大のポイントは、『企業視点』です。あなたが、企業の採用担当者だったら、オープン求人にエントリーした応募者の何を知りたいでしょうか?ここで、よくない例とよい例を挙げてみますので比べてみてください。
【よくない例】
発症当初は人とのコミュニケーション場面における、緊張感や不安感から場面緘黙、黙従傾向が表れ結果的に体調不良に陥っていましたが、今は就労可能です。現在、就労移行支援事業所に通っていますが、人間関係や環境変化のストレスから体調が崩れた場合は頓服を呑みます。
【よい例】
生活リズム、勤怠ともに安定しており、主治医からは就労可能との評価をいただいております。就労移行支援事業所に通所し、対人関係向上に関わる座学や実践的ワークに取り組むとともに、服薬管理を徹底することで、初めは自分から人と関わることに不安や緊張感が高まり体調を崩しがちだったものが、現在では通所予定通りに通所し、週5日訓練に取り組むことができております。
企業視点に立ったときに、ここで求められる内容は『現在就労できる状態であるか』ということです(※必要な配慮についてはここでは割愛しております)。
例を読み比べたときに、前者の例文では、終始主観のみで論述されているのに対し、後者は“主治医から就労可能”という客観的な視点も盛り込まれていることで、より説得力のある論述となります。
また、過去の状態と現在の状態を対比させた論述形式をとることで、現在の状態がより明確且つポジティブに読み手に伝える効果が期待できます。過去~現在までを時系列で記述していくかたちが基本でとなりますが、読み手に入る情報の順番として【ポジティブ情報(主治医も認めている)→ネガティブ情報(発症時の状態)→ポジティブ情報(訓練成果)】という文章構成にすることで、読み手にはポジティブ情報が印象として残りやすくなります。これは、初頭効果と親近性効果という心理学的テクニックを用いた文章構成です。
就労移行支援の履歴書作成訓練
このように、就労移行支援の履歴書作成訓練では、利用者のデマンド(主観的欲求)と企業のニーズ(客観的必要性)を擦り合わせた上で、より最適な自己プレゼン方法を専門スタッフと一緒に考えます。 自分が作成した履歴書の書き方に不安のある方は、一度就労移行支援事業所の専門スタッフに相談してみると良いかもしれません。